山形大学工学部は、東京大学大学院工学系研究科の大野亮太大学院生、長谷川達生教授らと、山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターの井上悟研究専任准教授らによる研究成果を、プレスリリースとして発表しました。有機半導体の結晶構造を、分子設計の段階から予測する新しい手法です。
研究グループは、ベンゼン環が直線状につながった「ポリアセン」と呼ばれる有機半導体分子を対象にしました。結晶が層状になる性質と対称性を手がかりに、分子の配置を決める変数を整理し、主要なものから順に最適化していく方法です。実験で得られた構造を出発点に使わず、ポリアセン系列で知られる4種類の結晶構造多型を、量子化学計算だけで精密に再現できたとしています。
従来の結晶構造予測は、膨大な候補構造を網羅的に作って安定なものを探す方法が中心でした。この方法では、なぜその構造が安定なのかを理解しにくい点が課題でした。今回の手法は最適化の過程を解析することで、多型が生じる物理的な仕組みも明らかにできるとされています。
研究グループは今後、アルキル鎖などの柔軟な側鎖を持つ有機半導体など、より複雑な分子材料へ手法を広げる予定です。結晶構造を考慮した分子設計により、高性能な有機半導体の開発が加速すると期待されるとしています。
成果は2026年10月23日(英国夏時間)に、国際科学誌「Communications Chemistry」のオンライン版に掲載されます。詳しくは山形大学工学部のウェブサイトのページで確認してください。
